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CHERRY MX メカニカルスイッチとは
CHERRY MXスイッチは、1953年創業のCHERRY社(ドイツ)によって開発・製造されたメカニカルスイッチです。
1983年開発後、操作端末やパソコン用キーボードのキースイッチとして長年愛されています。用途や好みなどに合わせた、様々なキータッチ(触感)のスイッチが開発され、パソコン用キーボードには、機能や外観デザインに加えて、「打鍵感」という、もう一つに選択肢が加わりました。
近年、MXスイッチ自体の特許期間が終了し、パブリックドメインになってからは、多くの後発メーカから「MX互換スイッチ」が登場。ユーザーの好みに合わせた様々なキータッチが増える中、MXタイプが、キースイッチのデファクトスタンダードとなっています。
MX2Aスイッチの特長 ~旧モデル(MX1A)との違いは?~
CHERRY社は、2023年に新製品「MX2A」シリーズを発表。2024年から同スイッチを搭載したキーボードが順次販売開始されました。
MX2Aシリーズは、レジェンドスイッチであるMX(1A)シリーズの良さを踏襲しながらも、ユーザーからの声、他メーカーのMX互換スイッチの研究により、
トレンドに合わせたチューンナップが施されています。では具体的に、どんな違いがあるのかを見ていきましょう。

ソケットドームへのルブ
(潤滑材塗布)
ボトムハウジングのソケットドーム部分(※バネが設置される部分)に長期間持続する低摩擦なルブ(潤滑剤)を塗布したことで、キーストロークが滑らかになり、スプリングノイズが低減します。

スプリング形状を
バレル(樽)形に変更
スプリングの形状を円筒形からバレル(樽)形に変更。素早いキーストロークによる押下圧に対してもその形状を維持するバレルスプリングの特性を生かし、打鍵時にバネがソケットドームに引っかかることなくスムースで安定した入力が可能になります。

新設計のステム形状で安定性・正確性が向上
ステム(キーキャップを嵌める摺動部品)内側に、通称「クラウン(王冠)」と呼んでいる、6つのリブを追加したことよって、スプリングがぶれることなく、確実に中央に配置されます。これにより打鍵時のぐらつきを大幅に軽減し、一貫した打鍵感/打鍵音が得られます。

ソケットドームを刷新
ドイツ工学技術の粋を尽くし作られた、精密なソケットドームは、キー入力時のスレで傷が付くことなく、シームレースな部品の摺動を助けます。また、ドーム部分の金型表面をダイヤモンドで研磨し、スムースなキー連打操作を可能にしています。

最適化された
ガイダンスリブ
改良されたトップハウジングには、ステムがブレなく摺動するように、新たにガイダンスリブがデザインされており、ユーザーに向上したタイピング体験をもたらします。打鍵時の擦れ感が大幅に軽減され、快適な打鍵感を提供します。

ゴールドクロス
ポイント
CHERRY独自のゴールドクロスポイント接点技術 。綿密な2点溶接プロセスにより、接点は頑丈に取り付けられ一体化。この精度が1ms未満のデバウンスタイムと1億回以上のクリック寿命(※茶軸、黒軸、赤軸、スピードシルバー軸。他は5,000万回)を可能にしました。
スイッチのモデルにより、同じMX2Aシリーズでも採用されていない特徴があります。下記の表をご参照ください。
特徴 スイッチ名 | MX2A茶軸 (MX2A-G1N) | MX2A黒軸 (MX2A-11D) | MX2A青軸 (MX2A-E1N) | MX2A赤軸 (MX2A-L1N) | MX2A スピードシルバー軸 (MX2A-51N) | MX2A 静音赤軸 (MX2A-71N) |
ルブリケーション (潤滑油塗布) | 〇 | 〇 | – | 〇 | 〇 | 〇 |
バレル(樽型) スプリング | 〇 | 〇 | – | 〇 | 〇 | 〇 |
ステムの6つのリブ (クラウン) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | – |
ダイヤモンド 研磨 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ステム ガイダンスリブ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ゴールド クロスポイント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
CHERRY MX2Aスイッチ 各軸の仕様/特性
MX2A茶軸(MX2A-G1N)
入力位置付近で、コリッとした"タクタイル(クリック感)"があり、メカニカルキーボードらしい打鍵感が味わえるキースイッチ。
軽すぎず重すぎないので、メカニカルキーボード入門者の方にも最適。
スイッチ特性:ソフトタクタイル
作動点キー押下荷重:55cN(約55g)
入力位置 (Pre travel):2.0mm
キーストローク(Total Travel):4.0mm
クリック音:なし
耐久性:1億キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated):有り
MX2A青軸(MX2A-E1N)
入力位置付近で、明確なクリック感と"カチャカチャ"とクリック音があり、一般的に"メカニカルキーボード"という言葉で想像されるであろう打鍵感。タイピングの音を気にせず、タイピングしてる感を体感したい方にはおすすめ。
スイッチ特性:クリッキータクタイル
作動点キー押下荷重:55cN(約55g)
入力位置 (Pre travel):2.0mm
キーストローク(Total Travel):4.0mm
クリック音:あり
耐久性 : 5,000万キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated): 無し
MX2A黒軸(MX2A-11D)
しっかりとした、強めの反発力が特長。
底打ちせずに、バネの反発を生かした入力に最適なキースイッチ
スイッチ特性:リニアアクション(タクタイル感: 無)
キー荷重:60cN(約60g)
入力位置 (Pre travel):2.0mm
キーストローク(Total Travel):4.0mm
クリック音:なし
耐久性:1億キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated):有り
MX2A赤軸(MX2A-L1N)
反発力が弱めで、軽くソフトなキータッチが特長。バランスの取れた、スタンダードなキースイッチ。
スイッチ特性:リニアアクション(タクタイル感: 無)
キー荷重:45cN(約45g)
入力位置 (Pre travel):2.0mm
キーストローク(Total Travel):4.0mm
クリック音:なし
耐久性:1億キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated):有り
MX2Aスピードシルバー軸(MX2A-51N)
入力位置(キーがONになる位置)を浅めに設計で、PCゲームなど高速入力を求めるユーザー向けに最適化したキースイッチ。
反発力が弱めで、軽いキータッチ、ストロークは短め。
スイッチ特性:リニアアクション(タクタイル感: 無)
キー荷重:45cN(約45g)
入力位置 (Pre travel):1.2mm
キーストローク(Total Travel):3.4mm
クリック音:なし
耐久性:1億キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated):有り
MX2A静音赤軸(MX2A-71N)
キースイッチを下まで押し切った時に発生する"底打ち音”を低減する特殊な内部構造をもつスイッチ。反発力が弱めで、ストロークはやや短く、軽くソフトなキータッチが特長。
スイッチ特性:リニアアクション(タクタイル感: 無)
キー荷重:45cN(約45g)
入力位置 (Pre travel):1.9mm
キーストローク(Total Travel):3.7mm
クリック音:なし
耐久性: 5,000万キーストローク
潤滑剤塗布(*Factory Libricated): 有り